息子の受験を終えて

25期生(2018年卒)保護者 佐々木 徳久・母

 息子の受験を通じて一番感じたことは「こんな強さを持っていたとは!」ということです。二年前の娘の受験時と違い、今年は多くの学校で出願と合格発表がウェブ上で行われ、それは私たち親子にとってなかなかの曲者でした。

 手続き自体は特に難しいことはなくスムーズなのですが、二月の受験時はほぼ毎日『試験、当日発表、翌日の試験』と続き、そのスケジュールを頭で理解するのと実際にこなしていくのでは大きな違いがあったからです。一月中の受験日程に余裕のある時はまだよかったのですが、二月に入ってからは大きく落胆する日が多かったため、彼のメンタルが耐えられるのかどうかが心配でした。


 けれど息子は強かったのです。入試が始まるとすぐに自分なりのルーティーンを確立していました。それは、『試験を受ける、その夜合否を確認してエデュコへ報告、テレビを見たあと勉強をする、入浴して早めに寝る』という具合です。

 例えば、本人の手ごたえがあり期待も大きかった二月一日受験校が不合格だった時も、直ぐに湯田先生に報告し、私に受話器を渡すと布団にうずくまり静かに涙を流していましたが、電話を終えた私と向き合うと「明日がんばる。」と言って気持ちを切り替えはじめた様子でした。

 そしてテレビを少し見たあと、ノートや予習シリーズを広げ、見直しなどをして寝てしまいました。はじめはこんな時にもテレビを見るのかとあきれましたが、どうやら頭の片隅で自分なりに当日受けた試験の振り返りと明日へ向けた対応策を考えていたようです。

 正直、私には理解できない部分もありましたが、見守ることにしました。そして、母親として入試の間にあと二つだけ心がけることにしました。一つは朝食です。ごはん、お味噌汁、焼き魚、お浸しなど、和風のものをしっかり摂らせました。もう一つは試験の出来栄えを尋ねないようにしたことです。

 二月二日の夜は、息子はルーティーンに反して、当日の試験の結果を聞かずに寝ると言い出しました。そして八時半には寝てしまいました。恐怖心もあったと思いますが、それよりも翌日の第一志望校受験に向け、セルフコントロールをしている印象を受けました。

 二月三日の試験を終え出てきた息子は、「算数が・・・だめかもしれない。」と不安げな様子を見せました。そして前日の試験結果について問われたので、主人が「もう一回行こう。」と答えました。今日の感触と昨日の不合格はさすがにこたえるのではと心配になり、私は「あの学校は何回も来てほしいみたい、仕方ないから行ってあげよう。」と和ませようとしました。

 息子は「次は受かるよ。」と、もう気持ちを切り替え始めていたものの、帰宅途中にエデュコに寄ることにしました。先生方や事務の皆さんとお話しすると緊張がほぐれ「よし、もう一回頑張るぞ」という力が湧いてくることを娘と同様に、息子も感じていたからです。上嶋さんには「ミルクティーと緑茶のどちらが良い?」と優しく気遣っていただいたり、先生方には忙しい仕事の手を止め息子が弱気にならないよう励ましていただいたりしたこと、本当にありがたく思っています。そのおかげで二月三日の夜には次の試験へ向かう強い気持ちのみが息子の中に芽生えているのが伝わってきました。なぜなら「ずっとテッカに合格したって報告できてない。明日にはいい報告がしたい。」と奮起していたからです。

 その言葉通り、二月四日の試験後は「これ以上出来ないっていうくらいやってきた。合格すると思う。」と息子が言いました。夜七時、運命の瞬間、宣言通り合格の文字がパソコン画面に現れました。息子は直ぐにエデュコに電話し、「合格しました‼やっとテッカ合格したって言えた。」と何日ぶりかで笑顔を見せました。


 第一志望校は残念な結果でしたが、息子はとても晴れやかな様子です。きっと「自分らしく」やり遂げ「自己肯定感」を得たということなのでしょう。自分でも「あの数日間は、何かが違った。アドレナリンが出ていた。」と後に言っていました。一月から数え、七連敗後の合格でした。息子の強さに驚きと、嬉しさと、尊敬の気持ちを抱きました。

 それまでの息子は、漢字練習は雑、算数の予習シリーズは練習問題がいつも残る、好きな理科は多少やっているかと思えば要点チェックはまばらで、社会に関しては予習シリーズを読むだけのことがほとんどでした。恥ずかしながら、その様子を見た主人が退会届を持ってエデュコへ行ったこともありました。


 そんな息子が受験生らしく見えてきたのは、六年生後半、いえ、一月に入ってからかもしれません。私から見ると、レベルが合っているのか疑問符のつく土曜の御三家算数でしたが、息子は自分の意志で、しかも楽しんで最終日まで受講していました。答案練習会も、午前・午後と受けさせていただくこともありました。本人が望む講座を受講できるシステムにも感謝しています。


 そして何より、本物の試験を受けながら、より強く、より上手になっていく息子が私にも分かりました。受験校の多くは問題用紙を持ち帰ることが出来たので、こっそり見てみると、今までさんざん言われてもやらないことが多かった図を描く、計算式をきちんとたてる、線を引く、重要語句を丸で囲む等、エデュコで学んだことを息子なりに駆使した跡が残っていました。

 先生方に根気強く、温かく、甘やかさずご指導いただいたお陰です。ありがとうございました。そして、「徳久なら、もっとできるのに・・・」「一緒に頑張ろう。」と言ってくれた同期やそのご父兄、一月の激励会に来てくれた多くの先輩方、娘のエデュコ同期の皆さんとそのお母さま方、授業後のお迎え時にいろいろと話をさせていただき応援してくださった後輩の保護者の方々にも感謝しています。


 今、二人の子供の受験を終えたという安堵感と同時に、保護者としてのエデュコとの関わりを終える寂しさを感じずにはいられません。娘の入会から息子の受験終了までの六年間は私たち親子にとってかけがえのない時間でした。これからもOB・OGとなった子供たちと一緒に、ずっとエデュコを応援しています。ありがとうございました。