息子の中学受験を終えて

23期生(2016年卒) 保護者  戸井田 悠生・母

 息子が中学受験をしたいと言い出した時、こんなにも充実した日々が待っていようとは、夢にも思いませんでした。


 私たち夫婦はともに中学受験経験者です。それぞれにその経験は貴重なものとは思っていましたが、その大変さも十分に理解しており、自分達の子供はそんな苦労をすることはないと考えていました。そんな思いとは裏腹に息子は小学三年で受験したいと言い出しました。始めはすぐに忘れるだろうと、大して相手にもしていませんでしたが、何か月経っても「やってみたい。お願いします。」と言う彼に根負けして、やるからには精一杯がんばることを条件に私達の受験が始まりました。


 私が小学生のころは電車を乗り継いで通塾していたため大変だったこと、また家庭での勉強時間の確保が重要との考えから、まずは通信教育の中学受験コースを使い勉強を始めました。息子は基本的に勉強好きでやる気はあるためすぐにペースは掴めましたが、性格が少々頑固なので、間違いを間違いとは認めず親子喧嘩になる事もしばしば。またいくら丁寧な説明のある教材といえども、小学生一人で理解するのは難しく、息子が勉強する時はほぼ私がつきっきりで、二歳下の弟の面倒もみてあげられません。そろそろ限界かなと感じた新五年生の二月、塾に頼ることを決めました。


 いくつかの塾を見学したものの、エデュコに即決しました。説明会での湯田先生の一言一言が我が家の教育方針と一致したこと、良心的で信頼できる塾だと感じたこと、体験授業で息子も気に入ったことがその理由です。塾がある日は、「今日はエデュコだ。やった!」と言って朝起きてくるほど、エデュコが大好きになりました。しかしそれまで使っていた教材と予習シリーズの進度が違うため、勉強していない単元を総合回テストまでにあわてて自習したりと、大変な思いをさせてしまったことは今でも申し訳ないと思っています。


 志望校選びに関しては、息子は「目標を立てて頑張る」ということが好きな子なので、おだやかな校風というよりは、少々厳しくとも活気に満ちている学校を探しました。ここで幸いしたのは、私達が息子に合っていると思う学校と、息子が気に入った学校が全く同じだったことです。そのおかげで志望校はすんなり、開成・早稲田・巣鴨となりました。あとは最後まで走り抜くのみです。


 入塾から六年前半まで、勉強はすべて塾任せ、本人任せで、ずいぶんと楽な受験生ママをやらせてもらったと思います。息子は国語の成績は安定して良く、もしかしたら幼いころからの大の読書好きが功を奏したのかもしれません。他の教科でも不得意な分野というものが特になく、有難いことではあるものの、逆に何を頑張れば成績アップに繋がるのか分からない状態でもありました。しかし入試もだんだんと近づき、本人もやるべきことはやっているものの、なかなか模試で開成合格圏には入れません。そんな時、夫が「中学受験において、本人が頑張っているのにも関わらず成績が上がらない場合は、親の努力不足だ」とどこかに書いてあるのを教えてくれました。その言葉に愕然とし、私たち親ももっと勉強に関わることにしました。普段の塾の勉強とは別に、算数の苦手分野を洗い出して復習させたり、毎朝漢字テストをやらせたり、夜は二時間ほど、夫が理社の暗記作業を毎日一緒にやってくれました。その甲斐あってか、秋以降の模試ではなんとか開成合格圏に入ることが出来ました。(ちなみに漢字はいくらやっても身につかず、本人も覚えられないことに苛立つだけなので、入試一か月前にはやめました。どうやっても苦手なものってあるものですね。)

  この頃私達が悩んだのは、予習シリーズ以外の教材を用いるべきかどうかでした。同じ問題ばかりやっていては意味がないのではと思ったからです。しかし結論から言うとそれは間違いでした。エデュコの先生方にも度々相談にのって頂きましたが、試行錯誤した上なので、今ではそのお言葉の意味がよく分かります。算数においてはエデュコで教えられた解き方が最良であり、他の教材に手を出せば出す程、様々な解き方がのっているので子供が混乱するそうです。すべての解き方を使いこなすなんて無理ですものね。理社も同様で、予習シリーズ・四科のまとめ・後期に先生が下さる社会のプリントをひたすらやりました。息子はテスト形式にして答えられないとイライラして頭に入らないタイプなので、毎晩の暗記作業では、前半は覚える時間、後半は質問に答える時間とし、四年の教材から何度も繰り返し覚えていきました。


 十二月に入ると本人もますますエンジンがかかり、湯田先生の教え通り、理社の暗記を徹底しました。過去問も三校とも三巡目をやりとげ、いよいよ二月入試。緊張する息子に自信をつけさせようと、今までの教材とノートをずらっと部屋に並べ、「こんなにたくさん勉強してきたのだから大丈夫だよ。自信を持って。」と言ったところ、息子が泣き出してしまったのです。あまりに意外な反応に驚き訳を聞くと、「受験勉強がすごく楽しかったから、もう出来なくなると思うと悲しい。エデュコの授業を受けられないなんて寂しい。」と。息子は本当に幸せな受験生だと思いました。これもエデュコでなければ叶わなかったことだと思います。


 開成の試験後、「算数が全然できなかった。」と息子が言い、帰りの電車では涙をこらえることも出来ません。そのままエデュコに連れていき、先生方に励まして頂き、その時ときわ校舎にいらっしゃった湯田先生にもその後お電話を頂き、なんとか翌日の入試に気持ちを切り替えることが出来ました。巣鴨・早稲田の試験は「手応えがあった。大丈夫だと思う。」と本人が言った通り合格を頂き、開成は不合格となりました。ずっと夢見ていた開成が残念な結果となり、どれほど落ち込むかと心配しましたが、「精一杯やったのだから悔いはない。早稲田でがんばるよ。」と前向きな息子を見て、精神的にも大きく成長したのだなと感じました。きっと私達には計り知れない大きなものを乗り越えたのだと思います。ここまで頑張れた息子を心から尊敬します。


 たまにふと、「受験をしていなかったら、どうだっただろうね」と親子で話す時があります。息子は「すごくつまならい毎日を送ってたと思う。」と言います。私もその通りだと思います。確かに大変だなと思う時もありました。合不合テストで思うような成績が取れず、泣きながら見直ししたこともありました。問題が解けないと怒りながら勉強している時もありました。過去問ノートを作る時、私も久々の勉強で予シリを調べながら頭が痛くなりました。けれど息子は常に前を向いていました。だからこそ、私達も精一杯のことをしてあげようと思うことが出来ました。息子が前向きでいられたのは、周りの方たちのおかげです。過去問がひどい点数で泣きそうな時、大丈夫だよと言ってくれる友達。自信を無くした時、いつでも励まして下さる先生方。スタッフの方々もいつも温かく見守って下さりました。皆さんのおかげで私たち親子はこの充実した日々を送ることが出来ました。この経験のおかげで息子は大きく成長でき、一緒に戦うことで親子の絆も深まったと確信します。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


  これからもエデュコの皆さまのご活躍を心からお祈りし、またこの拙文がこれから受験される方々の参考となれば幸いです。