7年間の感謝をこめて

22期生(2015年卒) 保護者  母

 この受験体験記を記すのも2回目となりました。

 4年前の姉の時と今回の息子の時とでは、親子の経験も、また後に続く人たちへの実感・経験もだいぶ変化したため、前回の記載だけでは片手落ちになるかと思い、今回も記すことといたしました。特に息子には「お母さんはややこしいこと書きそうだから、やめて」といわれてます(苦笑)。


【息子をエデュコに入会させた親の理由】

 姉の受験終了直後に、3年生になった息子に算数だけ受講させることとしました。その理由は、男子は算数ができないと受験校の選択肢が狭まるという判断と、先に入塾させるメリットがあると考えたことが一つでした。しかしながら私の本音としては、日常的に息子のど~でもいいようなトリビアに関する質問と問題攻めにかなり閉口していたため、息子の好奇心を満たすためにさっさと入塾させたというのが大きな理由だったかもしれません。この目論見は見事にあたり、息子の好奇心を大いに逸らすことができたようで、以後、私に問題攻めをする頻度はかなり減りました。

 また入塾させるメリットとは、高学年になってきっと親(とくに母親)のいう事など聞かなくなり、息子の制御不能となると判断し、早目に入塾することでエデュコの先生方との信頼関係が結ばれることも願っていたためでした。


【4~6年時の受験勉強期間の親と息子と先生方との関係について】

 案の定、息子は4年後半あたりから、予習シリーズの宿題を確認すると「うるせえ!」などと言い返すようになりました。先生方に窮状を何度か訴え、アドバイスをお願いいたしましたが、早くに入塾させたことがかえって裏目に出て、どうも息子には、エデュコの先生方を《先生》として認識してなかったように思います。もちろん親愛の気持ちからでもあるのですが、親に遇するのと変わらない甘えがどこかにあったようにも感じます。考えてみれば、姉の迎えの付き添い時の年長さんからエデュコに通っていたので、もはや第2の我が家のような存在だったのかもしれません。

 また息子の学年より改訂された新しい予習シリーズのカリキュラムの取捨選択も息子には難しく、物量的に毎週をこなしていくペースがなかなかつかめませんでした。ずば抜けてできるわけでもないし、まったくできないわけでもない(苦笑)という息子のような偏差値帯の子たちへの新予習シリーズの取り組みは、かなり親の判断も必要とする場面があるかもしれません。そして男子は女子と違ってとにかくコツコツやらない‼(泣)さらにまったりした性格の息子には、お尻を叩いても親子関係が悪化するのみで、勉強時間の密度が上がることは6年生の最後まで適いませんでした。男子は競争心が無いタイプの場合は、本当に幼く、中学受験をするのが本当に正しかったのか今でも実は答えは出ておりません。


【志望校の選択と男子の中学受験についての我が家の迷い】

 首都圏私立女子進学校が軒並み中高一貫校化し、女子の場合は、絶対的に中学受験をする必然性はあると今でも実感しています。一方、男子の場合は精神的に幼いのに、果たして中学受験するメリットがあるのかどうか、我が家的には意義を見つけられずに迷っていました。というのも我が家の近くに高校募集している大学付属校が複数あるのが迷う一因でした。

 娘の中高生活を見ていると、女子の場合は、校風がその子の精神的成長に大きく影響することが強く感じられる一方、ある程度以上の進学校になると、カリキュラム的には大差がないのかもしれない、というのも実感として感じていました。もちろん個々の授業の深度や内容は違うのかもしれませんが、大切なのは、それぞれの《学校内での立ち位置がどこにいるのか》で、その子にとっての中高6年間の生活観はだいぶ違うのではないかと思っています。

 息子にとってどのような立ち位置で6年間を過ごすのがより適切なのか、という判断で最終的に志望校を選択しました。また校風も息子に合うかどうか、というのが第一義として考えました。息子はどうもゆるい校風が好みのようで、文化祭でも厳しいと感じると「ここは違う」とはっきり口に出します。また自分で勝手に、ちょっと真ん中より上あたり(の成績)で自己調整する傾向にあり、受験期間中も、より上を目指そうなどとはあまり意気込みを感じませんでした。親としては【真ん中よりちょっと上とか、ちょっと下】だったらどのあたりに大学進学できるのか?というのを本命志望校選択の際のチェックポイントとしました。もしも希望の学校に届かなかったら、公立中学に進学し、近くの大学付属高を目指しても良いと判断していました。


【受験本番期間の息子の成長と見守り】

 1月校の受験が終わった直後の息子の言葉が忘れられません。「試験で本気だすとさぁ、記述問題でピッタリに書けるんだね」と。今まで合不合などの模試ではまったくお遊び気分で受けていたというのが良く解りました。運動会翌日の合不合など平然と「試験中ちょっとウトウトしちゃったよ」でしたので。

 2月1日の結果が出た2日の午後、息子は自分では当日の試験でも手ごたえがあったのにも関わらず不合格の事実を突きつけられて、初めて動揺しました。親としてみれば、合格点より「ちょっと上」で満足していて、より1問でも正答率を上げようという意気込みがなかった欠点を理解していたのですが、実際に実感しないと理解できなかったようです。

 昼食後にエデュコに寄り「自分の今の気持ちを全部先生に吐き出しておいで」と連れていきました。斎藤先生と大友先生に自分の気持ちを吐露し、励ましてもらい、その言葉に感動してビルのエレベータの下でもしばらく息子は「やべぇ!」と号泣してました。もしも、不合格でお子さんが動揺してしまったら、電話ではなくエデュコに寄ることをお勧めします。先生に直接会うことで、子供はとても落ち着きと前向きなエネルギーをもらえたと私は思っております。この時のためにエデュコに通わせたといっても過言ではありません。

 翌3日の受験で息子は、これまでとは違う粘りをたぶん見せたと信じています。本人的にも、3日間やれるだけの力を出し切った感があったようです。本人が納得しているのであれば、これ以上親は何もいうことはありません。


 結果的に本命校への進学は叶いませんでしたが、息子は進学する学校に対してとても前向きかつ楽しみにしています。招集日に思いがけずエデュコで一緒だったお友達や、小学校で仲の良かった子に巡り合えたのも望外の喜びだったようです。すっかり前を向いて、あっさりと中学受験を振り切って前を歩き出している感じです。


【受験を終えての今の心境】

 先に述べたように、公立中へ進学し高校から私立という志望校選択の際の迷いがありましたが、息子の希望もあり中高一貫校である合格校への入学を決めました。この学校であれば、たぶんカリキュラム進度的には同じ偏差値帯ならびにその上の学校ともあまり大差はないと信頼し判断したこと。大差がないのであれば近くの学校の方がより良い。また進学する学校での息子の立ち位置は、本命校での立ち位置よりはもしかしたら良いかもしれない。だとしたら、息子の中高生活で見る景色も少し違ってくるのかもしれないという親の期待もあります。校風も華美ではなく質実剛健なところも、どこか末っ子的な甘えのある息子の思春期の成長には良い影響を与えるのではないかと楽しみにしています。先日招集日にお会いした学年主任は頼もしい体育担当教員で、ゆるい息子がキリリとする青年に成長するのを見守る楽しみができたと思っています。


 息子の中学受験の後半は、私自身の転職や親の介護問題も重なり、子の成長とともに親も子離れを真剣に考えた1年間でした。中高一貫校の良さは、6年間という長いスパンで子の成長を見守る存在として学校も担ってくださるところだと思っています。

 高校生となった娘をみていると6年間はあっという間に過ぎ去っていきますが、その成長ぶりは目を見張るばかりです。いささか消極的だった娘が、今は部活に学校生活にお稽古にと活き活きと活躍し、楽しそうに日々過ごしているのを見るにつけ、同じように、また男子校ならではの良さを活かして、息子もきっとぐんぐん成長してくのだろうと楽しみにしています。進学する学校で、自分の居場所を見つけ、良き生涯の友になれる友人に巡り合い、そして心置きなく与えられたよい環境を享受して、勉学と部活に励んでほしいと願っています。


 最後に、湯田先生をはじめとするエデュコの先生方には、親子ともども長きにわたりお世話になりました。先生方の温かい眼差しと的確なご指導に心から信頼し、よい受験生活を過ごせたと親子ともども心から感謝しております。

 毎年毎年、子が成長していくように、先生方も壮年期を熟成させておられます。これからもどうぞくれぐれもお体を大切に、いつまでもお元気いられますよう願っております。そしてますますエデュコが発展されることを心から祈っております。

 娘も、息子も「二十歳の会」に参加することを楽しみにしているとともに、いつかテッカが駅前におでん屋さんを開業する日を心待ちにしています。

 本当に長い間ありがとうございました。